音楽における「ダイナミクス」とは?【ある場合・ない場合の違い】

「ダイナミクスをつけて!」

とよく言われますが、ダイナミクスとはどういったものでしょう。

1.ダイナミクスの意味

 ダイナミクスを単純にいうと、音楽における「音量&強さの差」のことです。「音量の差」はもちろんですが、mp(やや弱く)、f(強く)、クレッシェンド(段々大きく)など、「強さの差」に関する表現もダイナミクスに含まれます。

 では、なぜ「音量」だけではないのでしょうか?

 先ほどの「クレッシェンド」(だんだん大きく)を例に考えてみます。ピアノ演奏で表現するためには、「段々強く、力を入れてピアノの鍵盤を叩く」ことが必要になります。ピアノ以外でも、楽器の演奏や歌の「音量表現」と「強弱(か弱さ・力強さ)」は必ずセットであるということです。

 ただし、一言でダイナミクスを「音量の差」「強さの差」と表現してしまうのは少し語弊があります。それに加え、「音楽にメリハリをつける」「表現力をつける」といった意味も加わるのです。

ダイナミクスの「ない」音楽とは

 CDや動画サイトなどで聴くことのできる完成された音源は、プロのエンジニアによって、人の耳に優しく、極端な音量差がないように調整されています。

 サビになった途端、盛り上がりを重視しすぎて、急に曲の音量が大きくなったら耳に悪いし、とても驚いてしまいますよね。そうならないように、ダイナミクスを抑えるように調整されています。それにより、安心して聴ける音源になります。

 しかし、生歌や生演奏では、少し状況が変わってきます。例えば、楽譜に書かれている強弱記号を全く無視して歌ったり、ピアノを演奏したりしたとします。

 真っ直ぐで、平坦で、メリハリは全くなく、ただ単に歌っているだけ、演奏しているだけです。音楽の感情表現を一切していないのですから、相手に伝わる演奏にはなりません

ダイナミクスの「ある」音楽とは

 楽曲全体で聴いた時に、曲の盛り上がりや抑える箇所を意識し、抑揚(起伏・勢い)をはっきりと表現したものがダイナミクスのある音楽です。

 管楽器や弦楽器、打楽器、人の歌は、電子音やエレキギター、エレキベースなどのアンプから音を出す楽器よりも繊細な表現がしやすい傾向にあります。

 先ほど少し触れましたが、「楽曲のサビで盛り上げる」効果を出すために、サビで楽器を増やしたり、強く演奏したり、サビ前に弱音や無音を挟んだり…と、盛り上がりを生む方法はたくさんあります。これらは、すべて「ダイナミクス」による表現です。

 抑揚や強弱は、文字通り、ダイナミックにドラマを表現することに必要不可欠です。

 まず、楽譜に書かれている強弱記号の通りに演奏すれば、多少の表現力はついてきます。ダイナミクスを付けていくと、少し感情が入ってきて、作曲家の心情に近づくように演奏するようになっていきます。

 例えば、オーケストラのダイナミクスは、大勢で指揮者がつけるので分かりやすい例です。1つの楽器のソロ演奏から、大勢へと音を繋げたとき、まるで時空を越えて旋律が迫ってくる感じになるでしょう。ダイナミクスの大切さを感じる瞬間です。

2.ダイナミクスのつける意味とあるべき姿

 音楽記号だけを意識した演奏は、100点ではありません。そこに感情を加えて、抑揚を付けることにより、より100点に近づくのです。

 ですので、歌を歌う時も、楽曲を演奏する時も、その楽曲のテンポや雰囲気を崩さない範囲で、しっかりと楽曲全体の強調すべき箇所、抑えるべき箇所を意識して表現することが重要です。

 ただし、抑揚も強弱も、やりすぎると下手に聴こえてしまいます。ダイナミクスを上手に扱うには、「生きた音」を意識すると良いでしょう。人生、山あり谷ありと同様に、「音にも感情をのせる」のをイメージしてみてはいかがでしょうか。ただ音を出すのではなく、表現するのです。

まとめ

 感情・表現による「ダイナミクス」があることにより、演奏者と作曲者の心情がより近くなります。そして、それを演奏者だけでなく、聴衆へと伝えることができます。

 感情と表現をつけるために、「ダイナミクス」のある歌・演奏ができるようにしていけると良いでしょう。