ミュージシャンの収入【様々な収入源と、厳しい現実について解説】

 一口に「ミュージシャン」と言っても、実は、色々な形態があります。あまり知られていない、ミュージシャンの厳しい現実をお知らせしようと思います。

1.ミュージシャンの収入源の例

(1)メジャーデビュー(目安:年収100万~5億円

 才能、努力が伴って、念願のメジャーデビューが出来たミュージシャン。しかし、CD売上の減少、ネット上で無料で聴ける音楽(VOCALOIDなど)の増加、激しい競争率などで、売れるのが難しい時代になっています。

 売れているミュージシャンは年収1,000万~5億円程度、売れなかった場合は100万円以下になることもあります。

(2)音楽プロデューサ(目安:年収200万~10億円

 アーティストのプロデュースや、音楽制作全般を担当する仕事です。「小室哲哉」や、「秋元康」(AKB系)など有名音楽プロデューサになれば、年収が10億を超えることもあります。しかし、現実は、年収200~500万円程度が大半です。

(3)有名な演奏者(目安:年収400~500万)

 名のあるミュージシャンであれば、歌モノのCDの間奏のギターソロ演奏(数小節)だけでも数十万円の演奏料を手に入れることが可能です。演奏の力量に加え、演奏回数を確保する必要があるため、商才や人脈も必要です。

(4)サポートミュージシャン(目安:年収200万以下

 人口的に最も多いミュージシャンは、いわゆる「サポートミュージシャン」と呼ばれる人たちです。名のあるアーティストの伴奏が仕事となります。ポップス系だと1回に10万円を超える演奏料を稼いでいる人もいます。

 サポートミュージシャンには、初めて提示された初見の譜面も演奏できる技術が必要です。1日8時間の練習漬けの毎日を送っていることも少なくありません。

2.「ミュージシャン」の仕事は激減している

 あまり、商業的な音楽はしたくないという人には、ライブハウスでの演奏、ジャズ系が好きならクラブでの演奏などの選択肢もあります。ライブは、来てくれたお客の数に比例したギャラのため、どれだけ自分のお客さんを呼べるかが重要です。閑古鳥状態の時は、一晩数千円という時も…。

 全盛時には芸能界も牛耳ったバンドの世界ですが、カラオケの急激な進化で、どんどん仕事が減っていく状況にあります。

(1)作詞者・作曲者(目安:年収300~700万

 これからミュージシャンに求められるのは、楽曲の創作から自分たちで手がけることです。歌が上手、あるいは演奏が上手なのは、もちろんよいことです。しかし、それ以上に、「楽曲を創作すること」「作詞家・作曲家としての専門教育を受けること」が音楽を勉強する専門学校でも近年重要視されるようになってきています。

 その理由は、現在の日本の著作権のあり方から生じます。著作権料は、下記のように、音楽使用者(ユーザ)から、JASRACを経由して、作詞者や作曲者の手元に流れていきます。

音楽使用者(ユーザ)
↓使用料↓
JASRAC
↓分配↓
音楽出版者
↓再分配↓
作詞者・作曲者

 この流れの中に、「歌手」や「演奏家」は一切出てきません

 「音楽出版者」は作詞者・作曲者から著作権の譲渡を受けて、作品の著作権者となり、作品が世の中で多く使われるようプロモーションを行います。その中に、歌手や演奏家も入りますが、それ以上に作詞者・作曲者にお金が払われる仕組みになっています。

 歌手や演奏家は、主に「音楽出版者」に所属しており、そこからの分配になります。作詞者・作曲者は、歌手や演奏家より圧倒的に優遇されており、守られているのです。

 ただし、作曲者も実績と実力を積まないとお金を得ることはできません。日本の音楽界に古くからある楽曲制作の競争システムとして「コンペ」があります。コンペは、採用者が作曲者から無料でたくさん曲を集め、選ばれた曲のみがリリースされるというシステムです。

 選ばれないと作曲者は収入ゼロです。私も、コンペだけで収入が得られずに副業で作曲レッスンをしている作曲家を多く見てきました。ただし、着実に腕を磨き、知名度を上げていけるというメリットもあります。

3.二次使用料(主にカラオケ収入)について

 最近は、CDの売上が減り、カラオケなどからの二次使用料がメインの収入になってきています。

 カラオケで、ある楽曲が歌われるとします。コンサートやTV放送、カラオケなど、流れた音楽が形に残らない使用料(演奏権使用料)については、1曲の使用料の半分は、作詞者・作曲者に回りますが、歌手や演奏家には、1円もお金はいきません

 人気のある楽曲は、一晩で、どれほどの人がカラオケで歌うか、数え切れません。使用料1回分は大したことはないですが、日本全国で考えてみると相当の金額になります。

 しかも、カラオケでは、最新ヒットだけではなく、過去のヒット曲も歌われています。
1曲大きなヒットを出せば、「流行遅れ」になったとしても、歌ってくれる人は必ずいます。

まとめ

 ミュージシャンの収入はピンきりです。ある程度、実績を積めば音楽だけで生活していけますが、ほとんどのミュージシャンは、音楽だけでは生きていけないのが現実です。

 音楽を一生モノの仕事とするためには、JASRACの方針も理解して、著作権料を分配してもらう側となって、息の長い活動をしていくことが必要になります。