「歌ってみた」の著作権について【どこまでOK?どこからNG?】

 「歌ってみた」は好きな曲を歌って録音し、動画としてアップロードするものです。アップロード者は「歌い手」と呼ばれ、実際のアーティストのようにファンがつくことも多いです。

 しかし、自ら作曲したものを「歌ってみた」として投稿している歌い手もいますが、ほとんどの場合、好きなアーティストの曲であったり、同人作品であったり、他の誰かが作った曲を歌っています。

 歌い手は「著作権侵害」として処罰の対象になるのではないか、と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

1.そもそも「著作権」とは?

 非常にシンプルに言うと、著作権とは「自分の著作物を好きなようにできる権利」です。例えば、著作物を公開するのもしないのも著作者の自由ですし、それらを無償で配るのも有償で販売するのも自由です。

 よく「著作権=プロのみが保有している権利」だと思っている方がいますが、それは誤りです。たとえ、アマチュア作曲家が作った曲であっても、酔っ払いのオジサンが即興で歌った鼻歌であっても、著作者が誰であるかにかかわらず著作物全てにあるものです。

2.それではなおさら「歌ってみた」は危ないのでは?

 酔っ払いのオジサンが作曲したものに関しても著作権があるのですから、プロが作曲したものなら完全にアウトなのでは?という疑問が浮かびますね。

 第一項で述べたように、著作権は自分の著作物を好きなように扱うことのできる権利であって、「著作物の二次創作を許可してはならない」という義務ではありません。例えば、私達国民には、自分の保有する敷地内で犬を飼育できる権利がありますが、犬を飼っている人もいれば飼っていない人もいるのが当然ですよね。犬を飼うのも飼わないのも自由。著作物の二次創作(「歌ってみた」も含まれる)を許すのも、許さないのも自由なのです。

あの曲、カラオケ音源がない!!!!


 プロの作曲家に「俺の曲を好きに使ってもいいよ」と言われれば、遠慮なく二次創作できますし、酔っ払いのオジサンに「私の曲を勝手に使うな」と言われれば二次創作を控えるべきということですね。

3.原作者は「二次創作」を許可している?

 結論から言うと、条件付で許可されています。しかし、それは「歌い手」に対してはでなく「ニコニコ動画」「YouTube」「nana」に対してです。

 「歌ってみた動画を公開するのはOKだけど、【CDの音源】はそのまま使わないでね」

という契約がJASRACなどの団体と「ニコニコ動画」「YouTube」「nana」の間で結ばれている(包括契約されている)ので「歌ってみた」は一つのジャンルとして許可されているのです。

4.まとめ

 結論は、「歌ってみた動画の投稿はセーフだけど、CD音源をそのまま使っての投稿はアウト」ということです。歌ってみた動画の存在は、著作権的に黙認されているわけではなく、「ニコニコ動画」「YouTube」「nana」内であれば正式に許可されているのです。

 基本的にCD音源を使用することは許可されていませんが、一部許可しているレコード会社もあります。CD音源を使用して「歌ってみた」を投稿したい曲があれば、事前に、その曲のレコード会社がCD音源の使用を許可していることを確認しておくことが必要です。